HA遺伝子
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HA遺伝子は、H7亜型であった。
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赤色で示したのが、H7N9ウイルスのHAのアミノ酸配列。
190番目のアミノ酸は、E(グルタミン酸) であり、225番目はG(グリシン)であり、D(アスパラギン酸)への変異は認められず、鳥型レセプターを認識するが、ヒト型レセプターへの親和性は低いと考えられる。ここがヒト型に変異するとヒトへの感染が広まる恐れがある(データ提供は、横浜市衛生研究所の川上先生)。
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ただし、A/Shangai/2/2013とA/Anhui/1/2013については、226番目がL(ロイシン)に変異しており、H3に近いグループと考えるとヒト型レセプターであるα2-6にも結合出来る可能性があるが、実際のところは実験してみないとわからない(北大 岡松先生の指摘)。岡松先生、ありがとうございました。
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赤色で囲んだところが、ニワトリの病原性に関与するHA1の末尾にある開裂部の塩基性アミノ酸配列部位である。一番下の高病原性のH5N1ウイルスであるベトナム株は、RRRKKR(R:アルギニン、K:リジン)と塩基性のアミノ酸が6つ並んでいるが、H7N9ウイルスは、R(アルギニン)が一つであり低病原性であることがわかった。
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高病原性か低病原性かはニワトリに対する病原性であり、実際に、ニワトリが死なないので、ウイルスがどこに潜んでいるかがわかりにくいという問題も生じており、生きたニワトリの売買はすべて禁止された。ニュースではハトも問題になっていたことを不思議に思われた人もおられると思うが、中国では、鳩も鶏同様に食用として、生きたままマーケットで販売されている。
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A Shanghai 2 2013とあるのが、今上海で流行したH7N9ウイルスである。/や()が表示されないのでご了承下さい。
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Influenza A virus A duck Tsukuba 700 2007 H7N6とある場合、
Influenza A virus A/duck/Tsukuba/700/2007 (H7N6)のことである。
A型インフルエンザで、宿主はduckでありTsukubaで分離された2007年の700番目の株で、表面のHAとNAは、H7N6型であることを意味する。
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H7遺伝子は、中国で流行していたH7N3ウイルスに近縁であった。また、日本で流行していたH7N7ウイルスのH7遺伝子とも比較的近縁であった(NCBIのBlast解析の結果 By Sugita)。
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