解説:

(注1)スペインかぜウイルスは、全ての遺伝子がトリから来たとされているが、その間にブタが介在しているかどうかは、1918年と古い時代なので、証明が困難である。1957年のアジアかぜウイルスは、HA、NA、PB1の3つの遺伝子がトリ由来であった。その間にブタが介在した可能性は現在の所証明されていない。1968年のホンコンかぜウイルスでは、PB1とHA遺伝子がトリ由来である(ブタインフルエンザとの系統樹解析は、以下を参照。Nerome K, Kanegae Y, Shortridge KF, Sugita S, Ishida M. J Gen Virol. 1995 Mar;76 ( Pt 3):613-24.)。今回は、全ての遺伝子がブタインフルエンザウイルス由来である。この点が全く今までと違っていると考えられる(下図を参照)。

(注2) PB2、PAは、1998年より遡るとトリインフルエンザウイルス遺伝子であった時代に行き着く(正確な時間の特定は困難)。PB1は、1968年、つまり、香港かぜウイルスが出現する前は、トリインフルエンザウイルス遺伝子であった。HA、NP、NS遺伝子は、1918年より遡るとトリインフルエンザウイルス遺伝子であった時代に行き着く(ブタインフルエンザ時代があった可能性もあるが、証明されていない)。NAとMは、1979年より遡るとトリインフルエンザウイルス遺伝子であった時代に行き着く(Science Study Helps to Unravel the Origins of the New H1N1 Flu Virus)。

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